法人成りをしても現在の建設業許可番号を引き継ぐためにはどうすればいい?

事業継承個人事業で建設業許可を取ったあとに順調に事業を発展することができると、税理士さんから税金面で有利であることやスムーズな事業継続をするために「法人成り」を勧められるようになると思います。

そんなとき、個人でとった建設業の許可番号は、変えたくないという事業者は、少なくありません。とくに許可番号は古い数字であればあるほど、今まで刻んだ歴史を物語りますから。

ここでは、法人成りをしても建設業許可番号を引き継ぐための手続きやその手続き条件について紹介します。

引き継ぎできるための条件を欠いてしまうと建設業許可は「新規」扱いとなり、手続きのための申請も管轄の土木事務所で完結できたものが、県庁へ出向き「新規」申請を行うことになりますので、許可番号は今までとは違う新しいものとなります。

法人成りで建設業許可番号を引き継ぐために知っておくべき5つのポイントと注意点

各行政機関に提出する書類を円滑に進められる体制ができている

個人事業から法人成りするための書類、法人成りした後の書類作成は法務局から始まり、土木事務所、税務署、財務事務所、市役所、年金事務所と多く、行政書士、司法書士、税理士、社会保険労務士とうまく連携をとることがスムーズに手続きを終えることがポイントです。

建設業許可番号を継続させるためには、定まられた期限内に絡みあう各行政機関の手続きを終える必要があります。

そのためには、建設業許可業務に精通している行政書士が中心となり、司法書士、税理士、社会保険労務士へ無駄なく事務手続きについて事業者になりかわり連携を図ることができます。

地味ながら、いかに円滑に行政手続きを進めることができる体制づくりは重要です。

 

今までの許可を取っていた事業主が役員となっていること

建設業許可を取得するために必要な「経営業務の管理責任者」が現在の事業主となっており、継続して設立した法人の常勤役員であることが必要です。

常勤役員であることを裏付けるためには、社会保険に加入していなければなりません。後期高齢者の場合は、静岡県では最低賃金を基準とした一定金額以上の役員報酬を支払いしているか賃金台帳を準備するなど必要です。

 

必要な手続きを法定期限内に行っておくこと

廃業届30日以内に管轄土木事務所に提出する。超重要です!!(30日後に提出した場合は、ほかの条件がそろっていても許可番号の引き継ぎができません。)

法人成りしていることを確認するため、現在の事業主の税務上の廃業届、新しく設立する法人の法人設立届(とくに財務事務所)の提出を行ってもらう必要があります。このとき、廃止した日と設立した日に空白期間がないことに注意しないといけません。

 

事業を引き継ぐことを確認できる書類の作成が4ケ月以内に準備できること

事業引き継ぎを確認するため以下の書類の準備をしておくことが重要です。

1.年初から個人事業を廃止するまでの貸借対照表、損益計算書

2.法人設立時の財務諸表

上記2つの書類から事業を引き継いでいることを確認するために、次の4勘定科目の金額が一致していなければなりません。

  1. 完成工事未収入金
  2. 未成工事支出金
  3. 工事未払金
  4. 未成工事受入金

3.労働保険、社会保険加入切り替え手続き

法人成りのための法人登記が完了したら即時に、経営業務の管理責任者や、営業所の専任技術者が常勤か否かを裏付けるため社会保険手続きを行い、社会保険証の交付を受ける必要があります。
また、雇用保険の加入状況を確認する労働保険は、労働保険変更手続きで大丈夫です。

 

用意しなければならない書類

新規申請書類時と同じ書類作成と必要となる書類を用意しなければなりません。基本「新規」申請と同等で、例外的に許可番号の引継ぎが認められているようなものだからです。

そのため個人の法人成りまでの工事経歴書、財務諸表の作成を行い、経営業務の管理責任者の経営経験裏付けのため現在有効な建設業許可申請書が必要です。

財務諸表は、個人事業の貸借対照表・損益計算書及び法人の開始貸借対照表

個人事業の工事経歴書を作成しなければいけないため、法人登記申請しているときから準備することをおススメです。

 

法人成りしてから許可が下りるまで請け負う工事は、注意が必要

建設業の許可番号を引き継ぐことはできますが、法人成りしてから法人に建設業許可がもらえるまでの間は、建設業許可業者でなく、「建設業を営むもの」となり、建設業法上、許可を取得しなくても工事を請け負う工事金額までしかできません。つまり建設業許可上では、空白期間となります。

建築一式工事であれば、工事1件の請負金額が1,500万円以上もしくは延べ面積150平方メートル(45.38坪)以上の木造住宅工事、それ以外の工事は500万円以上の工事を請け負うことができません。