常時医師が3名以上いる診療所は、専属の薬剤師が必要!?

クライアントの歯科診療所の医療法人の移転があり、開設届を持参した際、保健所より常勤歯科医師が3名いるので、専属薬剤師設置をするか、専属薬剤師を置かないための「専属薬剤師設置免除許可申請」を提出する必要がある旨、指導を受けたことがありました。

歯科診療所では「歯科医師3人」は少し規模が大きいところでは、よくあるケースですが、今までそのようなことを言われたことがなかったので、少しびっくり!

結論を言えば、歯科診療所の場合は、この専属薬剤師の設置義務はなく、「専属薬剤師設置免除許可申請」を行う必要はありません。

せっかくなので、この「専属薬剤師設置」についてまとめました。

そもそも専属薬剤師とは?

医療法第18条に以下のとおり規定されています。「病院または常時3名以上医師がいる診療所には、常勤で働く薬剤師を配置しなければいけません。」

常勤とは、就業規則等で定めた週あたりの勤務時間以上勤務する従事者で、常勤「換算」という言葉を使っていないので、正社員の薬剤師を置かないといけないです。

常時3名以上医師の考え方は?

そもそも医療法第18条でいう「医師3名」の定義は、医師を指しており、「歯科医師3名」となっていないので、歯科医師は含まれません。

そのため、歯科診療所では、専属薬剤師は置かなくても大丈夫です。

「常時医師」の常時とは

常勤換算で3人以上、「常勤・非常勤」という考え方ではなく、「常に」3人以上医師が勤務している場合なので、診療日に毎日医師が3名以上いる場合、専属薬剤師を置かなければなりません。

常勤、非常勤の考え方がないので、以下の場合は、専属薬剤師を置く必要があります。

  • 常勤医師が3名
  • 常勤医師が2名、非常勤医師が毎日、日替わりで1名=3名

非常勤医師が複数名いても専属薬剤師は、設置不要?!

「常時医師3名」の考えなので、常勤医師1名、非常勤医師が複数名いても、週の中で医師が3名を下回る日がある場合は、常時医師3名に該当しなくなるため、専属薬剤師を置く必要がなく、そもそも「専属薬剤師設置免除許可申請」も必要ありません。

専属薬剤師設置免除許可申請

常時3人以上医師に該当する場合でも、医療法第18条のただし書き部分「病院または診療所所在地の都道府県知事の許可を受けた場合は、この限りでない。」とあるように設置免除の許可を受ける申請を行い、許可されれば、免除されます。

許可申請書には、1日の平均調剤数、外来患者にかかる取扱処方せん数、専属薬剤師を置かない理由を記載します。

1日の平均調剤数、処方せん数は、過去1か月くらいの実数かおおよその数は診療所で把握できていると思います。

専属薬剤師を置かない理由は、「投薬の機会が少ない」「痛み止めなど調剤の内容が極めて単純なため」といったところが考えられるところです。